これでいいのか福島県の高校生! 旧七帝大+東工大+一橋大合格は100人に一人も合格しません・・・

これでいいのか福島県の高校生!
旧七帝大+東工大+一橋大合格は100人に一人も合格しません・・・

安積高校や福島高校など、地域のTOP高に合格するたくさんの生徒が、将来的には旧帝大や医学部に進学したいという希望をもって入学します。しかし、その約85%以上の生徒がその目標を達成することはできていません。以下は、2020年度・2021年度の難関大学への合格状況になります。

このように、難関大学に合格している生徒の割合は毎年10%~15%ほどです。年によっては10%を切ってしまっている年もあるぐらいです。この割合を見て少なく感じる方が多いと思いますが、実際、他の都道府県と比べても福島県の高校生は大学入試でとても苦戦しています。次に見ていただくのは、それが分かる各都道府県別の難関大学の合格者の割合になります。

このように、福島県の高校生が難関大学に合格する割合は1000人あたり9.2人と100人に1人も合格していないことが分かります。それではなぜこのように福島県の高校生は大学入試で苦戦するのでしょうか。私なりにいくつか理由を考えてみました。

【福島県の高校生が大学入試で苦戦する理由】

1,高校生の通塾率が低い
2,部活を一生懸命頑張りすぎる
3,中高一貫校が少ない
4,大学入試の情報が手に入りづらい

4つの苦戦する理由を挙げましたが、一つずつ説明をしていきたいと思います。まず「1」に関しては、高校生だけではなく中学生にも当てはまることです。私が塾業界に入った頃に比べれば中学生や高校生の通塾率は上がっていますが、他県に比べればまだまだ低いのが現状です。次のデータは、中学生の都道府県別通塾率の割合になります。

上記のように、福島県の中学生の通塾率は全国37位と決して高い割合ではありません。しかし、通塾率だけが原因ならば、石川県や鹿児島県、宮崎県などが福島県よりたくさんの難関大への合格者を出している理由になりません。特に石川県では1000人あたりの人数が福島県の2倍以上と、とても高い割合の合格者を出しています。

次に「2」の部活以外を頑張りすぎるについて考えていきましょう。高校生の部活動の状況は信頼性のあるデータが見つかりませんでしたので、中学生のデータを参考に見ていきたいと思います。

上記のように、長時間部活率も運動部参加率も全国で上位なことが分かります。つまり、運動部に入り長時間部活を行うことで勉強に割ける時間が減少することが考えられるということです。しかし、お隣宮城県でも運動部に入る生徒の割合がとても高いですが、その分長時間部活率はとても低い割合になっています。勉強と運動を両立するためにメリハリがつけられていることが分かります。それが高い難関大学への合格率へとつながっているのではないでしょうか。その宮城県を例にとると「3」も説明しやすくなります。

宮城県では、仙台二華中学校や仙台青陵中等教育学校などの公立中高一貫校以外に、聖ウルスラ学院英智小・中学校(中学校過程)や東北学院中学校などの私立の中高一貫校があり、その数は12校もあります。宮城教育大学附属中学校も含めると、小学生から受験を経験する生徒の割合がとても高いのが特徴です。当然、受験者のすべてが合格するわけではありませんが、受験をする意義として早いうちから将来の自分に向き合う生徒の割合が高いのです。その過程の中で、将来自分が目指したい大学の情報も集めますので、保護者の方も積極的に子どもの将来に関わります。それに対して、福島県の中高一貫校は中通りには福島成蹊中学校と桜の聖母学院中学校の2校しかなく、公立中高一貫校は一つもありません。2025年度に安積高校附属中学校(仮名)が開学しますが、仙台二華中学校が2010年に開学したことを考えれば15年も遅れているわけです。当然、小学生から受験をする生徒の割合はとても低いため、学区内の中学校に進学し成績に応じて高校を選ぶといった場合が多いはずです。そのため、高校生になるまで大学の情報を全く分からない状態の生徒がたくさん生まれてしまうのです。これは「4」の理由につながります。大学入試の情報を正しく知らなければ、ゴールのないマラソンを走っているのと同じことになります。マラソンはゴールが分かるので、どのぐらいのペースで走りどこでペースアップをするか、そして、どのタイミングでラストスパートをするかが分かります。福島県の高校生を見る限り、高校受験と同じように高3生から受験勉強を始めれば良いと考えている保護者や生徒の多さにとても驚かされます。実際は、高1・2年生での学習がとても重要になってきます。例えば旧帝大の東北大に合格したい場合、データ上高1生の1月段階で英語と数学1・Aは共通テストで最低60%以上の点数を取っていないとほぼ合格は難しくなります。ちなみに、得点率60%は安積黎明高校の高3生の平均点数とほぼ変わらない点数になりますし、郡山高校や郡山東高校生の平均以上の点数に相当します。それだけの点数を高1段階で取るためには、学校の進度スピードを約半年早める必要が出てきます。そのため、自分一人の力でその学習をすることはとても大変なことなのです。

最後に、ここまで色々なデータをもとに説明してきましたが、純粋に高校の勉強の難易度が上がり、勉強量も大幅に増加していることも忘れてはいけません。現在高校に入学したばかりの生徒たちは、初めての定期試験を終えてその大変さに気付いたはずです。難易度も量も中学校までとは天地の差だったのではないでしょうか。それを知っていただくために、中学校の定期試験の科目数と安積高校の科目数を比べて見てみましょう。

【中学校の中間テスト】
国語・数学・英語・理科・社会・・・5教科5科目

【安積高校の中間テスト(高1)】
国語総合A・国語総合B・現代社会・数学Ⅰ・数学A・物理基礎・生物基礎・コミュニケーション英語Ⅰ・英語表現Ⅰ・家庭基礎・・・6教科10科目

いかがでしょうか。科目数が2倍になっていることがお分かりいただけると思います。そのため、中学生時代と同じだけの勉強量では、当然中学生時代と同じだけの点数を取ることは難しくなることが分かっていただけるのはずです。次に、勉強量の増加がより分かるように、実際我々の塾にある教材の画像を見ていただきたいと思います。

まずこちらの画像は、中学校1・2年生の数学の教材(右)と高校1・2年生の数学の教材(左)になります。テキストの分厚さがまったく違うことが分かります。ちなみに、一般的には数学Ⅰ・A/Ⅱ・Bは高2の10月までに終わらせる内容です。つまり、中学校より約半年短い期間内で、2倍以上の学習をすることになるのです。

 

次の画像は、実際の教材の中身になります。上が中学生、下が高校生の画像になります。同じ因数分解の単元を載せましたので、問題数が圧倒的に増えていることが分かると思います。(どちらも同じ教材会社です)このように、学習量が増加するのと比例して生徒自身の勉強量も増えていれば問題ありませんが、実際はほとんどの生徒が高校受験時より勉強量が減ってしまっているのではないでしょうか。なぜなら、通学の時間や部活動の時間など、中学生時代よりあらゆる時間が増えている中で、勉強だけに時間を割くことはとても難しくなっているからです。そして、なかなか結果が出ない生徒ほど、自己肯定のために様々な言い訳を考えるようになります。それでは社会の荒波に出た時に、人から信頼される社会人になることは難しいです。せっかく優秀なのであればどうして出来なかったのかの言い訳を考える前に、どうすれば出来るかを考えられる人にぜひなってください。もし、一人でその答えを見つけられない場合は、他人からその答えを教えてもらい、それを自分のものにしていく力も生きてく上では必要なスキルです。福島県の高校生の皆さん、ぜひこの機会に自分の高校生活について振り返ってみてください。