勉強ができる子に育てる方法とは? 橋本先生にインタビュー!
Q ズバリ成績を上げるためにはどんな学習が必要ですか?
知識を身につける過程で「インプット型の学習」と「アウトプット型の学習」がありますが、成績が上がらない子ほど、インプット型の学習ばかりをしているケースが多いです。
例えば、学校や学習塾では新たな単元は、まず授業で先生から習いますね。それがインプット型の学習です。そして、それをもとに類題など宿題をします。そして、授業で習った知識をもとに、問題を解き理解を深めていくことがアウトプット型の学習になります。
Q その比率が重要なのでしょうか?
そうです。実は成績を上げるにはインプットが「3」に対してアウトプットが「7」というのが黄金比です。つまり、受けた授業の倍以上の時間を復習に費やすことが大事です。
Q 2倍以上必要なんですね!?
はい。どんなに素晴らしい先生の授業を受けても、復習をしなければ成績は上がりません。自学の時間をどれだけ取れるかが、とても重要です。
Q 自宅で学習するのは、なかなか難しくないでしょうか?
本当にその通りです。私の感覚では10人に1人ぐらいしか、自宅で集中して学習できる生徒はいませんね…。
Q どうしたら自宅で学習するようになりますか?
3つの力が必要で、この力が身についていないと、学習の難易度が飛躍的に上がる高校生になった時に、成績が伸び悩んでしまいます。
その3つの力とは、①主体性、②コミュニケーション力、③粘り強さです。これは社会人になっても求められる力ですよね。「主体性」は、自ら進んで学習する姿勢。「コミュニケーション力」は、分からない問題や学習の進め方についての相談をする行動。そして「粘り強さ」は、学習の壁にぶつかった時に諦めない気持ちにつながります。この力を、できれば小学生のうちから育てていきたいですね。
Q どうしたら小学生のうちにそのような力を育てられますか?
一つの方法に限定するのは難しいですが、強いて挙げるなら、自己肯定感を育てるアプローチを続けることです。
学習塾に通わせる保護者ほど、成績つまり結果を重視します。それでは自己肯定感を育てることはできません。なぜなら失敗しない人間はいませんから、必ずいつか成績が下がるときはきますよね。よって、結果だけではなく、プロセスを評価してあげることです。
私は、いつも塾に来た小学生には「よく来たね!」と明るく褒めるようにしています。塾に来るだけで偉いよというスタンスでいるからこそ、生徒たちは自ら塾に足を運ぶようになるんです。塾に行く→褒められる→主体的に通塾する、につながると思いませんか?無理やり行かされる塾と、自ら喜んでいく塾、どちらが結果が出るかは一目瞭然だと思います。
Q 結果は気にしなくても大丈夫だということですか?
それも違いますね…実際に高校受験や大学受験、当然、社会人になればノルマや数字が問われる時が必ず来ますから。結果を出せる人を育てるには、継続性を持たせて頑張り続けさせなければならないんです。「できない=途中であきらめる」ということだと私は考えています。できるようになるまで何日、何年かかってでも、やり続けたものが勝つというのが私の持論です。瞬間だけを見れば負ける時はあるかもしれませんが、勝つまでチャレンジしたものが最終的に勝者です。一時的な努力、つまり、受験で合格するためだけの勉強しかしてこなかった生徒は弱いです。なぜなら、特に高校生での学習は挫折の連続になるからです。試練は誰にも平等に訪れますから、それを乗り越えるために、自分を信じる力、つまり自己肯定感を育てることがとても重要だと思います。
Q 逆境に抗う力をつけることが重要なのですね。子どもが挫折したときに親として何をすればいいですか?
よく保護者の方に、子どもが弱音を吐いたときにどうしたらいいかと聞かれる事があります。そんな時私は、「とても素敵なことですからどんどん弱音を吐かせてください」と言います。子どもがSOSを出せる家庭環境はとても理想的ですし、子どもの心理とすれば親の反応を確かめているわけです。親が親身になって聞いてくれる姿が、子どもにとっての精神安定剤になります。弱音を吐くということは、その子が試練に立ち向かっているタイミングですから、子ども自身は決してそこから逃げたいのではなく、立ち向かうためのエネルギーを親からもらいたいだけです。そして、保護者の方は、弱音を吐きたいぐらい頑張っている自分の子どもに誇りをもって接してあげてください。余計な言葉は必要ないので、とりあえずぎゅっと抱きしめてあげてください。一番やってはいけないのは保護者自身が動揺してあたふたすることです。そして、保護者が介入してその悩みを解決してしまうとせっかくの成長のチャンスを逸することになります。先ほども言ったように親の反応を子どもが見ているわけですから、親が動揺してしまうと、自分の悩みがとても大きな問題だと認識してしまう恐れがあります。何があっても私はあなたの味方だよというスタンスが一番望ましいです。
Q 子どもがスマホを持つことをどう思いますか?
正直、成績向上の観点で言えば、百害あって一利なしですね。これは、様々な研究でも証明されていることです。ただし、現在は様々なことにスマホが活用されていますし、特に高校生になると必須アイテムになっていますよね。個人的には小学生では必要ないと思いますが、中学生からはご家庭の環境によっては必要な場合も出てくると思います。その場合は、使用するルールをしっかり家庭内で作るべきです。一番分かりやすいのは使える曜日と時間を指定することです。それが、できないなら初めから持たせないことです。うちの子がスマホばかりで勉強しなくて困っているという相談を高校生の保護者からされることがありますが、それは子どもの責任というよりは、スマホを与える上での初期設定を怠った保護者にも責任があると考えています。主体的に勉強に取り組める生徒ほど、スマホと上手に付き合っていますから、いかに小・中学生のうちにそういった子どもに育てるかも重要ですね。
Q 最後に現在子どもを抱える保護者の皆さんにメッセージをお願いします。
学習塾は勉強を教えるところですが、勉強を教えただけでは成績は上がりませんので、いかに人間力も同時に育てていくかが、その塾の腕の見せ所になります。特に小学生時代の働きかけがとても重要です。郡山市は習い事に通わせる家庭は多いですが、学習塾に通わせる家庭はとても少ないです。実際に福島県の小6通塾率は30.4%で全国42位です(1位の東京都は58.8%)。これは塾は中学生からという固定概念が大きいのが理由だと思います。また、中学生はもっと深刻で、中3通塾率は43.7%で全国39番目です(1位の神奈川県は74.4%)。福島県など地方ほど高校入試の倍率が低いため、高校合格だけを考えれば通塾は必要ない場合があります。但し、大人になれば倍率など関係ない、非常に厳しい世界で生きていかなければなりません。将来の福島県や日本を背負っていく人財を育てていくことが私達大人の使命である筈です。子どもの可能性は無限大ですから、できるだけたくさんの子どもたちの可能性を広げるお手伝いをさせていただけると幸いです。
↓Style郡山12月号掲載記事