過保護な親が子どもの将来を潰す

先日は子どもの「ほめ方」についてご紹介しました。特に小学生以下のお子様と親との関わり方は、子どもの成長を促す意味でとても重要な時期だと知っていただけたと思います。今回はなかなか過激なタイトルですが、もう少し具体的な子どもとの関わり方についてお伝えいたします。

そもそも教育とは3つの要素から構成されています。イギリスの思想家ハーバート・スペンサーが提唱した「知育・徳育・体育」の3育がそれにあたります。簡単に説明すると、知育とは「知力や知能を伸ばす」、徳育とは「道徳心や倫理観、豊かな心を養う」、体育とは「健康な体作りをする」ということです。我々塾業界に特に求められていることは「知育」の部分だと思います。これをもっと簡単に説明すると、偏差値をUPさせ上位の学校に合格させることだと思います。現に、大手の学習塾を中心にどれだけ立派な学校に合格者をたくさん出したかが市場でのステータスになっています。私はそれを全て否定するつもりはありません。むしろ、生徒が努力し、周りが憧れるような学校に進学することはとても素晴らしいことだと思います。しかし、近年、「偏差値秀才」を育てることだけに重きを置いてしまうと、彼らが実際に社会に出た時に苦労するということが問題視されています。偏差値秀才とはテストの点数や偏差値を上げる能力(暗記力や処理能力)に長けているものの、既存の正解がない状況での課題解決力や創造性、柔軟な思考力が乏しいタイプを指す言葉です。偏差値秀才の主な特徴は以下の3点になります。

・要領の良さ: 試験に出るポイントを把握し、効率よく点数を取る能力が極めて高い。
・正解至上主義: 「決められた正解」を探すことは得意だが、自ら問いを立てたり、白黒つかない問題に対処したりするのが苦手。
・応用力の不足: 知識の詰め込みには長けているため基礎学力は高いが、ルールが変わったり、未知の状況に直面したりすると対応に苦労することがある。

そもそも「知育」の本来の目的とは「論理的思考力」を育てることだと考えます。具体的には、感情や直感に頼らず、物事や情報を整理し、矛盾のない筋道を立てて結論を導き出す能力です。そして、論理的思考力が見につくと以下のようなメリットがあると考えられています。

・提案が採用されやすくなる(プレゼンテーション能力)
・問題解決力が向上する
・聴く力と伝える力が向上する(コミュニケーション能力)
・情報処理能力が向上する
・キャリアに良い影響を与える

このように、人が社会に出て求められる重要な能力が得られることがお分かりいただけると思います。それでは次に、その論理的思考力を鍛える具体的な方法を以下にいくつか紹介させていただきます。

・読書の習慣をつける
・さまざまなことに疑問を持つ
・疑問に対して自分なりの解決策を出す
・自分を客観視する
・周囲の人を観察する
・マルチタスクに挑戦する

以上が具体的な方法になります。これを子どもへの教育に置き換えた時、とても危険な関わり方をしている保護者がとても多くなってきているように感じます。特に一番子どもの成長の妨げになる関わり方として、親が子どもに勉強を教えるということです。子どもが分からない問題がある時に解法や答えを教えてしまう行為は、子どもの論理的思考力を養成する上で最もやってはいけない行為です。なぜなら、人は問題、つまり不都合や逆境が生じた時に大きく飛躍するチャンスが生まれるからです。人は不都合を乗り越えるために、自ら考え、工夫し、未知の解決策を探るプロセスを通して課題解決力の向上を図ります。また、想定外の出来事に何度も直面することで、どんな環境でも臨機応変に対応できる「しなやかな強さ」が見につきます。さらに、自分の弱点や限界を知ることで、足りないものを補おうする学習意欲が芽生えます。その結果、「これまでのやり方では通用しない」と気付くことで、より効果的で革新的な方法を生み出すイノベーションが生まれるのです。

このような力は科学的教育につながります。科学とは「再現性」です。再現性とは「いつ、誰が、どこで」行っても同じ条件下であれば同じ結果が得られる性質を指します。つまり、親の思考で解いたり教えたりした問題は、少し内容が変わっただけでその再現性を失います。子どもが自分自身の力で問題を解決した時に初めて、再現性が生まれるわけです。具体的には、仮説→実行→失敗→仮説→このプロセスを繰り返すことが重要です。これをビジネスシーンでは「トライ&エラー」という言葉で使われていますよね。つまり、学習とビジネスで求められる力には様々な共通点があると考えています。したがって、そういった力が十分に育つための機会を奪うことがないように子どもと向き合っていくことが非常に重要です。

最後におまけのお話ですが、最近話題のAIとどのように関わっていけばいいかの私なりの現段階での見解をお伝えします。上記でも述べた論理的思考力を育てるという視点から考えれば、教育にAIを用いることは最悪の方法だと思います。上記で述べたように、偏差値秀才を育てるだけで、社会で生き抜く人財を育てるという点では不向きであると考えます。ただし、子どもが自ら仮説を立て、問題に取り組んだ結果が正しいかどうかを判断するためのツールとして利用することは良いと思います。要は、AIによって最短ルートを提示され、それに従って学習を進めることはおすすめしません。特に小学生のうちは全く必要ないと考えています。ただし、我々大人のように、論理的思考力が育ちきった時に使用することは全く問題ないと考えています。ちなみに、小学生でのタブレット学習も反対です。なぜなら、しっかりノート・鉛筆を使うことで五感が刺激され脳の発達が促されると考えるからです。学習塾を選ぶ際などに、ぜひ参考にしてみてください!

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