成績が上がる生徒の共通点と生徒をしかるポイント

全国津々浦々、学習塾がない地域はありません。郡山市も例外ではなく、年々学習塾が増え続けています。現在お子様を学習塾に通塾させている方、または、これから通塾を考えている保護者の方は、学習塾に何を求めているのでしょうか。きっと、ほとんどの方は、高校や大学への進学が有利になるように学力の向上を目的にそうされていると思います。学習塾では、集団指導、個別指導、映像授業と指導形態には差があっても勉強を教えること自体に大きな差はないはずです。それではなぜ、成績が上がりやすい塾とそうでない塾、言い換えればたくさんの生徒が通塾する塾とそうでない塾に分かれるのでしょうか。私自身も約20年間この業界で働いていますが、使っている教材も指導している内容にも大きな違いがあるとは思っていません。使っている教材に関していえば、オリジナルで教材を作成している大手の学習塾を除けば、学習塾が教材を仕入れる業者はせいぜい5社ほどに限られどれも素晴らしい出来栄えです。では、その差はどこで生まれているか、私はまさしく指導する人の差だと考えています。そして、生徒のやる気を引き出し、成績を上げられる講師に共通していることとして、言葉がもつ力の重要性を認識していることだと考えています。実際、今もテレビなどのメディアで活躍されている有名講師は誰もが知っているキャッチフレーズを使って生徒の心を鷲づかみにしています。

世間一般的に塾講師の仕事には授業が挙げられると思います。そして、その質が最も重要だと考えられていると思います。私自身も若い頃は下手なりにどうやったら生徒が学習を理解してくれるか、日々授業案を考え、練習し技術の向上を図っていました。しかし、実際は一生懸命に授業をしてもなかなか全ての生徒の成績を上げることはできませんでした。そこで、通塾している生徒の中で成績が上がっている生徒の特長を洗い出し、以下の共通点を見つけることができました。

(1)5科目で通塾している生徒

今でこそ5科目通塾は当たり前の時代ですが、当時は英語と数学の2科目受講の割合が圧倒的に高かったです。福島県の高校入試でいえば100点分の勉強しかしていない生徒と、250点分の勉強をしている生徒で大きく結果の差が出るのは当たり前ですよね。

(2)マナーがある生徒

時間を守り提出物をしっかり出すといった当たり前のことを当たり前に実行することができていました。また、教室に来た際は我々講師にしっかり挨拶をしてくれていました。

(3)やりたいことよりもやらなければならないことを優先する

誰にも得意と不得意は存在します。当然、不得意なことを習得するためには得意よりも時間と根気が必要になります。成績が上がる生徒ほど、自分の弱点としっかり向き合っていました。これは部活動との向き合い方にも共通していて、部活の忙しさを勉強ができない理由にしていませんでした。

(4)アドバイスを素直に聞く

苦手の克服にもつながることですが、自分の力だけでは難しいことほど我々講師の協力を上手に活用していました。さらに、我々プロが提案するコースをそのまま受講してくれていました。

(5)フットワークが軽い
市販のおすすめ教材や勉強法を紹介すると、すぐに本屋さんで教材を買い実行に移していました。

(6)目標から逆算して今を考えられる

現在の成績から進路を考えるのではなく、行きたい学校や将来の目標を達成するために何が必要か考えられていました。

(7)打たれ強く切り替えが早い

失敗してその瞬間は泣いたり凹んだりするが、次の日にはしっかり切り替えられて学習に取り組めていました。

(8)志望校や志望大学を安易に下げない

志望する学校が明確に決まってこだわりを持っている生徒は、辛いことでもそれを乗り越えようという意欲が非常に強いです。逆にコロコロ変える生徒は、辛いことを避け楽な方楽な方へと逃げる傾向があります。

以上のような共通点に気付いてからは、私自身生徒への関わり方を大きく変化させていきました。

次に、実際に私が生徒へ実行したことを紹介していきます。

(1)私の考えを押し付けず、こういった考え方もあるよと対話を重要視する

(2)怒るから本気で叱る(諭す)に変化させる

(3)生徒の短所ではなく、長所を見るようにする

(4)生徒の言動を好転さえるために、改善点を伝える際はその子の強みも同時に伝える

(5)時間を守る・提出物をしっかり出す・挨拶をきっちりさせるを徹底する

(6)勉強は一つのツールにしか過ぎず、それを使う人間性の方がもっと大切であると教える

(7)生徒の性格や性別によって声のトーンや伝え方を変える

(8)生徒からの愚痴や弱音はしっかり聞いた上で全てプラスの言葉に変化させて生徒へ返す

(9)どんなに目標と離れている場合でも、否定せず一緒にがんばろうと励まし続ける

上記のいずれにも共通することは、全て授業外での生徒との関わり方であるということです。それを実行してからの生徒の成績は地域でも非常に話題になりました。偏差値が36から72に上がった生徒、学校順位が200位から学年1位になった生徒などドラマや映画のようなことが私の周りで起き始めました。ではなぜこのような結果を出すことができたのか。それは、家庭や学校での学習態度が大きく変化したからだと考えています。成績が上がらない生徒ほど、自己肯定感が低いためどうしてもやっても無駄だと感じている割合が非常に高いです。そのため、我々が見ていない場所での努力がどうしても不足してしまい、結果成績が上がらないという悪循環に陥ってしまっているのだと思います。生徒との関係性を強め、常にポジティブな言葉を投げかけることで、生徒が本来持っている才能を刺激し引き出してあげる、これが実は塾講師に必要とされる最も重要な資質だと私は考えています。また、それを素直に受け止められる人間性も大切ですから、マナーやルールを守る重要性や他人を尊重することができる心を育てる指導力も同時に求められます。冒頭でも述べましたが、日本を代表するような塾講師の方々は、生徒への言葉での動機づけや人間性の重要性を指導することが非常に上手だと思います。

 ポジティブな言葉を生徒に投げかけ続けることや人間性を育てる指導と同じぐらい大切なことは、生徒の叱り方です。生徒が普段周りの大人たちに注意されることは悪いことをした時です。特に保護者の方は、子育ての過程の中でお子様に様々なことでしつけをしていると思います。では、私はどんな時に生徒をしかるのか。それは以下の3つの事柄しかありません。

(1)遅刻したとき
時間にルーズな人間は信頼を失う。特に社会人になるとその傾向は強くなり、どんなに能力が高い人で会社から信頼されている人でも、重要な会議やイベントに遅刻を繰り返し、信頼を失ってしまう人を私はたくさん見てきました。

(2)提出物が期日までに遅れたとき
納期までに仕事を完遂しないと、新たなチャンスを会社からもらえる機会は激減します。なぜなら、仕事はチームでやることが多いからです。つまり、一人の遅れが周り全体の遅れになり大きな損失を被るリスクが生まれます。そのため、重要な仕事を任されなくなり、その人自身の成長もそこで止まります。

(3)勉強に対する姿勢が中途半端なとき
私が生徒の言葉で一番信用しないのが、「自分の力で勉強したい」です。そもそも、自分の力だけでは成績が上がらず通塾を始めたのにそれができるわけがありません。ほとんどが、目の前の勉強から逃れたい言い訳にしか過ぎません。本気で勉強するつもりがない生徒が、塾に通うなんてお金の無駄です。我々は保護者の方から授業料という信頼をいただいているわけですから妥協は絶対に許しません。

以上が、私が生徒をしかる際の3つの事柄です。共通していることとして、成績やテストの点数は一切関わりがないことが分かっていただけると思います。元々勉強が苦手で通塾を始めた子どもに、それを理由に𠮟ったらそれこそ理不尽ですよね。例えるなら、ダイエットを始めた人に、何で体重が重いんだと問い詰めているのと同じことになってしまいます。よって、私が生徒を𠮟る基準は、社会に出たときに求められる最低限のマナーに反した場合のみです。そして、この𠮟り方が本当に塾講師の腕の見せ所です。本気であなたのことを考えているという気持ちが生徒に伝わらなければ一方通行で終わってしまいます。私の叱り方について具体的な事例を以下で紹介します。

【冬休み中自分で勉強をしたいという高校生に対して】

生徒:橋本先生、実は冬休み中は塾ではなく自分で勉強しようと思うんですが・・・
橋本:そうか、それはできないよ
生徒:・・・それでは、集団(コマ数が多い)ではなく個別(コマ数が少ない)でいいですか?
橋本:結局〇〇は、自分で勉強するというのが理由ではなく、あまり勉強したくないんだろ?今回のテストの結果どうだった?
生徒:良くなかったです・・・
橋本:知ってるよ。そういう中途半端な気持ちで勉強してるから成績が下がるんじゃないのか。そんな気持ちで行きたい大学に合格できると思う?
生徒:いや、難しいです・・・
橋本:〇〇は、やらなくちゃいけないことではなく、やりたいことを優先しているから勉強が疎かになってしまうんだよ。今〇〇がやりたいことは、〇〇の将来にどれだけ役に立つことなの?俺は真剣に〇〇の人生に向き合ってんだよ。何で俺だけ他人の〇〇の人生に本気になって、〇〇自身は自分の人生に本気にならないの。〇〇の一番の武器は真面目にコツコツ努力をすることでしょ?将来への歩みを止めるなよ!
生徒:すいません・・・
橋本:俺は〇〇なら、行きたい大学に合格できると思っているし必ず合格させるつもりだよ。成績が上がっていた時の自分の行動を思い出してごらん。しっかり勉強に向き合っていたんじゃないかな?自らグレーゾーンをつくらずに、白か黒で物事を判断しなさい。どうせやるなら中途半端にやらずにガッツリ勉強すること。
生徒:わかりました!勉強します!!

このように、私をはじめ当塾のスタッフは生徒に妥協はしません。私達講師は勉強を教えるのと同じぐらい、我々の生き様を見せています。それは、我々自身が誰よりも生徒の成長を信じているという姿勢です。周りから見たらとても厳しいように感じるかもしれませんが、生徒たちはあと数年でさらに厳しい社会の一員として生きていかなければなりません。社会に出れば綺麗ごとだけでは通用しない場面もたくさん出てきます。そんな時、最終的に自分を助けてくれるものは自分だけです。そのため、できる限りの武器を得た上で社会へ羽ばたかせてあげたいというのが我々の本音です。

郡山俊英スクール 外観